日向夏氏による「薬屋のひとりごと」は、架空の中華風の帝国を舞台とした王宮内の出来事を描いたミステリー&ラブコメの作品です。
小説からスタートし、漫画やテレビアニメ化などメディアミックスされている大人気作品なので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
主人公の猫猫(まおまお)が薬学の専門知識を駆使して、王宮内の事件や謎を解決していく痛快なストーリーです!
そして、猫猫(まおまお)と、王宮の美形宦官の壬氏(じんし)との関係が気になりますよね!
今回は、そんな「薬屋のひとりごと」に出てくる簪(かんざし)にまつわる意味について調べました。
「薬屋のひとりごと」簪(かんざし)を渡す本来の意味は?
簪(かんざし)を渡すという行為は、古代中国では特に深い意味がありました。
「薬屋のひとりごと」の舞台である架空の中華風帝国の茘(リー)について、原作者である日向夏氏は「モデルは唐代、楊貴妃の時代を中心に衣服や花街、後宮はイメージ。」と語っています。
このことから、この作品内でも「男性が女性に簪を贈ることは重要な意味を持っている」と考えて間違いないでしょう。
一般的には、プロボーズを意味するのが主流なようです。
簪の価値が高いほど、気持ちの強さや誠実さを表現できるとされています。
作中の宮廷では、男性が女性に簪を贈ることで求愛の意思を伝えます。
後宮の女官は、通常は外部の男性と接触することが厳しく制限されていますが、簪を贈られた女官がその気持ちを受け入れれば、女官は後宮から出て、外部の男性との婚約や結婚が認められることがあるそうです。

普段は男性と接触できないんだから、
なかなかハードル高そうだよね。。
「薬屋のひとりごと」壬氏から猫猫へ贈られる簪(かんざし)の意味は?
壬氏が猫猫に簪(かんざし)を渡したのは、この二回!!
①園遊会が始まる前 ②皇弟の嫁選びの場 です!
詳しく見ていきますね。
①園遊会が始まる前
猫猫のそばかすは実はわざと描いていること、後宮に来たのは売り飛ばされたからであることを、壬氏が知り、そのことを謝罪。そして、自分がつけていた簪を「やる」と言って猫猫の頭に挿しました。
このことから、壬氏は猫猫に簪を贈るために用意していたわけではなく、その場の流れで渡したと考えるのが自然ですよね。
謝罪の品として簪しか持ち合わせていなかった為、簪を渡したけれど、本来その行為はプロボーズの意味となるから、壬氏は照れた様子で渡したと考えられます。
また、高価な銀製の簪は、同じことが二度と起こらないようにというお守り的な意味もありますからね。
男性から女性へ簪を渡す意味はプロポーズ的な意味が強いですが、この場面においては、壬氏から猫猫へのプロポーズというよりは、お気に入りアピールや悪人を寄せ付けないお守り的な意味の方が適切だと思われます。
②皇弟の嫁選びの場
羅の一族の姫君として用意された部屋に簪が置いてありました。
簪には月と芥子がデザインされていて、「月」は言わずもがな「華瑞月」、つまり壬氏を表しています。
「芥子」は、阿片の材料にも薬の原料にもなります。
「月はともかく、芥子はどうかと思います」
「言うな。旅の前に作ったのだ。前の代わりだ。」と、壬氏は白娘々のこともあり、芥子をあしらったことを後悔していますが、実は、毒に目がない薬師の猫猫にはぴったりなのではないでしょうか。
「毒薬変じて薬となる」とはよく言ったものです。
総じて、壬氏が猫猫へ贈った月と芥子の簪は、プロポーズの意味を持っていると言っていいのではないでしょうか!
また銀は、ある時代では金よりも高い価値を持っていました。簪は銀細工でしたので、思いの強さはいかばかりかと思います。
そんな代物を頭に挿しているのだから、気づく者はすぐに気づいてしまいます。
羅半からのものだと勘違いする猫猫はある意味すごい!

猫猫は毒や事件には察しがいいのにねぇ。
そこがいいのだけども。
猫猫が陸孫と踊っているときの、刺さるような壬氏の視線や、「ちゃんとつけているようだな」という言動からは、「皇弟の嫁最有力候補である」という牽制の意味も付け加えられるのかもしれませんね!
「薬屋のひとりごと」壬氏の簪(かんざし)の由来は?
上述のように、園遊会前に壬氏は猫猫に男物の銀の簪を渡しました。
その後、毒見をした猫猫が席を外し、再度壬氏と会った時には、壬氏は新たな簪をつけていました。
アニメでは「赤いな」ぐらいにしか思いませんでしたが、小説では「鹿とも馬とも言い難い伝説の動物は麒麟といった。聖獣の長とされ、それを身に着ける者はそれだけ高貴の存在という証だ。」と描写されています。
園遊会時点では「宦官の割に高貴そう」という印象しかありませんでしたが、徐々に壬氏の正体が明らかにされます!
麒麟は中国では伝説の動物とされ、皇族に関連する存在です。そして、壬氏の正体は皇弟・華瑞月であることが後々明かされます。
このことから、壬氏が新たにつけていた簪は皇族としての証だと言えますよね。例えるならば王冠のようなものでしょうか。
この時点では一宦官であるとされているため、猫猫のように「女官か文官か武官か宦官を連れ込んだり、連れ込まれたりしていたのだろう」と考えてしまうのは無理もないことですが。
「薬屋のひとりごと」ストーリーにおける簪(かんざし)の意味とは?
園遊会にて玉葉妃、梨花妃、李白、そして壬氏が、猫猫に簪(玉葉妃は首飾り)を贈ったことで、その行為にはプロボーズの意味以外にも様々な意味があることが分かりました。
それは、自分の侍女アピール、お気に入りアピール、参加賞、お守りです。

それにしても、猫猫は男女問わずに
大人気!!
壬氏は猫猫に2回簪を贈り、1回目の園遊会では「男物の銀の簪」を贈りました。
その場の流れで渡したと考察しましたが、「地味な作りに見えて、細かい彫り物がびっしりされている」と描写されています。
これは、「まだ気持ちは気になる程度だが、そうなるきっかけはたくさん散りばめられている」ことを暗示しているのではないでしょうか。
つまり、壬氏が猫猫のことを気になっている状況を表していると考えられます。
そして、2回目は皇弟つまり壬氏の嫁選びの場で「月と芥子の簪」が贈られました。
この時点では、さすがの猫猫もコトの意味を理解していました!

猫猫は心の中で
「もっと他の者を選べばいい」
と考えていましたがw
しかし上述したように、月と芥子はそれぞれ壬氏と猫猫だと考えられる為、二人の関係がより親密であることが示唆されましたね!
「薬屋のひとりごと」簪の意味とは?まとめ
いかがでしたでしょうか。
「薬屋のひとりごと」における簪には、沢山の意味が込められており、ストーリーの中でも大事なキーとなっています。
壬氏と猫猫の関係性までを象徴していると考えられます。
とにかく面白い「薬屋のひとりごと」、目が離せません!
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